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初期ルネサンス特徴を解説!代表的な画家や有名な作品をご紹介

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「ルネサンス」という言葉は、
日本でもよく知られています。

ルネサンスは、
14世紀から16世紀にかけて起こった美術の動向のこと
なかでも、14世紀から15世紀にかけての時代を
「初期ルネサンス」と呼びます。

初期ルネサンスの時代の絵画には、
「空間」や「感情」が表現されはじめ、
写実性が高まりました。

たとえば本記事で紹介する
画家ジョットの傑作「小鳥への説教」。
聖人フランチェスコの純粋な人間性と、
動物の愛らしさが、生き生きと描かれています。

このような
かわいらしく人間的な感情表現は、
中世には見られなかったこと
です。
西洋絵画史上に残る名作を
数多く生み出したのが、
初期ルネサンスでした。

この記事では、
盛期ルネサンスの時代との違いも含めて、
初期ルネサンスの画家や作品について
解説します。

<あわせて読みたい>

パオロ・ウチェッロ「遠近法による酒杯」15世紀(フィレンツェ・ウフィッツィ美術館)

美術に関心が薄い人も、
「ルネサンス」という言葉は
耳にしたことがあると思います。

初期ルネサンスを含めて、
「ルネサンス」の意味や特徴を
解説します。

ルネサンスは、
イタリア生まれの概念。
「再生」を意味しています。

それでは、いったいなにが
「再生」したのでしょうか。

「再生」したのは、
古代ローマやギリシアの
思想や美術
でした。

中世において絶大な権力を持っていたのは
キリスト教です。
キリスト教は一神教。
一方、古代は多神教
でした。
多神教の時代の美術や思想は、
中世のキリスト教会では
タブー
とされていたのです。

ルネサンスは、
そうしたタブーの時代の終焉
でした。

ルネサンス美術の誕生は、
当時のヨーロッパ社会に普及しつつあった
人文主義の影響も受けています。

人文主義とは、
思想の中心を「神」ではなく
「人間」とする考え方のことです。
14世紀から発展した人文主義は、
堅苦しいキリスト教の世界観から、
人間を解放するという文化運動
でした。

初期ルネサンスの絵画も、
人間的な表現が主流となりました。

ルネサンス美術の特徴は、
「空間」「人間の表情」「自然の描写」

これらはすべて、
古代の美術が持っていた要素です。

とくに遠近法の研究は、
初期ルネサンスの画家たちが
夢中になったテーマでした。

約束事に縛られていた中世の絵画は、
とても平面的です。
一方、初期ルネサンスの時代から、
絵画は格段に写実的になっていきました。

それでは、歴史の中で、
ルネサンスはいつ興ったのでしょうか。

一般的には、
14世紀から16世紀まで
とされています。

とくに1400年代を、
初期ルネサンスと呼びます。

代表的な画家は、
ジョット、ボッティチェリ、
ピエロ・デッラ・フランチェスカ、
マンテーニャなど。

盛期ルネサンスと呼ばれる1500年代には、
レオナルド、ミケランジェロ、ラファエロの
三大巨匠が登場します。

初期ルネサンスと盛期ルネサンスのちがいは、
どこにあるのでしょうか。

初期ルネサンスは、遠近法や幾何学を駆使しつつ、
三次元的な表現が追及された
時代です。

盛期ルネサンスの時代には、
解剖学や自然の法則をベースに、
作品が描かれるようになります。
絵画の世界にも、
サイエンスの知識が駆使
されていました。

初期ルネサンスの特徴である、
自然や古典への意識の高まり。
それらは盛期ルネサンス時代になると、
真実や理想美の追求へと
発展していったのです。

イタリア生まれのルネサンスは、
やがてアルプスを越えて、
「北方ルネサンス」を生み出しました。

北方ルネサンスは、
古典への回帰は見られず、
キリスト教の倫理を重んじた点が特徴です。

理知的な構図にこだわらず、
明暗を使用したイリュージョンのような作風が
北方ルネサンスではよく見られます。

<あわせて読みたい>

ジョット「小鳥への説教(聖フランチェスコ伝)」1295年-1300年頃(アッシジ・聖フランチェスコ聖堂)

ルネサンスの先駆けとなった画家、
それがジョット・ディ・ボンドーネ
です。

美術の歴史の中で、
ジョットは「西洋近代美術の創始者」といわれるほど、
重要な位置を占めています。

中世の平面的な絵画とは異なる、
写実性と空間性を感じるジョットの画風は、
絵画の歴史の一大改革となりました。

ジョットは生年も出自も、
はっきりしていません。
いいつたえによると、
知的な羊飼いであった少年ジョットの才能を、
チマブエという画家が見いだしたといわれています。

20代で描いた、
フィレンツェのサンタ・マリア・ノヴェッラ聖堂の
「磔刑図」。
人間の苦しみ、肌のリアリティなど、
早熟の才能が感じられる作品です。

この作品ですでに、
若いジョットは、師匠のチマブエを超えたといわれるほど、
早熟の才を示しました。

ジョットの卓越した画力は、
各都市の大貴族やローマ教皇の心を捉えます。
ジョットはイタリア半島の北から南まで奔走、
各地で制作活動を展開しました。

アッシジに残るサン・フランチェスコ聖堂に残る、
「聖フランチェスコ伝」や、
パドヴァのスクロヴェーニ礼拝堂の
「マリア伝とキリスト伝」は
ジョットの代表作。

フランシスコ会の創始者、
聖フランチェスコは、現在もカトリック信者に慕われている
聖人です。
聖フランチェスコの人気は、
ジョットの描いた「聖フランチェスコ伝」にあるといわれるほど、
歴史的にも高く評価されています。

「小鳥への説教」に見られる聖フランチェスコの純粋さが、
ジョットの画風
と合致した結果ともいわれています。

感情をあらわにした人々の、
涙やむき出しの歯。
これらは中世には描かれることがなかった、
人間の自然な姿でした。

聖堂や教会内に描かれた一連の物語は、
それぞれの構図の調和の美しさでも
有名です。

登場人物の感情を生き生きと描きながら、
教会を飾るのにふさわしい神聖さが
ジョットの特徴。

現在まで残る作品は少ないものの、
後世の画家に多大な影響を与えました。


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ボッティチェリ「ヴィーナスの誕生」1485年(フィレンツェ・ウフィッツィ美術館)

ルネサンス美術の代表として知られる
「春(プリマヴェーラ)」と「ヴィーナスの誕生」。

いずれも、
ギリシア神話を題材にした
ボッティチェリの傑作
です。

ボッティチェリは、
ルネサンスの時代に栄華を謳歌した
フィレンツェで生まれました。

フィリッポ・リッピに師事し、
優美な作風を学びます。
盛期ルネサンスに通じる、
写実と理想の絶妙なバランス。
これらは、
他の追随を許さないボッティチェリ独自のもの
です。

ボッティチェリの洗練と優美は、
当時のフィレンツェを統治していた
メディチ家の人々も魅了。
大富豪メディチ家の注文を受けて、
数々の名作を残しました。

視覚的な効果が高い作品の数々は、
ボッティチェリを超人気画家へと押し上げました。

ギリシア神話をテーマにした作品だけではなく、
宗教画や寓意画でも腕を振るったボッティチェリ。
とくに「マニフィカートの聖母」や「ざくろの聖母」など、
優雅な聖母像は不動の人気を誇ります。

華やかさのあるボッティチェリの作品は、
花の都として栄える
フィレンツェのシンボルとなりました。

晩年は修道僧サヴォナローラの影響を受け、
神秘的で陰のある作品も残しています。
フィレンツェの凋落とともに、
人気が陰ってしまった晩年のボッティチェリ。

1504年、ミケランジェロが作ったダヴィデ像の設置をめぐる委員会には、
名を連ねています。

ピエロ・デッラ・フランチェスカ「キリストの鞭打ち」1455-1460年(ウルビーノ・国立マルケ美術館)

画家としてだけではなく、
数学者としても知られる
ピエロ・デッラ・フランチェスカ。

数学的秩序に基づく彼の作品は、
レオナルド・ダ・ヴィンチにも大きな影響を与えたと
いわれています。

ピエロ・デッラ・フランチェスカは
中部イタリア生まれ。
20歳のころ、フィレンツェに移住。
ドメニコ・ヴェネツィア―ノという画家に
学びました。

若い頃から、
斬新な構図とみずみずしい色彩は
高い評価を得ていました。
ウルビーノ、アレッツォ、リミニなど、
ルネサンス的な君主が統治する町で
活躍していたことがわかっています。

有名な作品は、
「キリストの鞭打ち」「ウルビーノ公爵夫妻の肖像」
「聖十字架伝説」など。
数学的なバランスを持つ構図、神学の知識、寓意のアイテムなど、
理知的な要素によって構成されているのが、
ピエロ・デッラ・フランチェスカの特徴
です。

理論家としてもよく知られ、
『絵画のための遠近法』など著作も多数

理論に裏付けられた静謐な作風は、
19世紀になって再評価されました。

アンドレア・マンテーニャ「死せるキリスト」1475-1478年(ミラノ・ブレラ美術館)

北イタリアのパドヴァに生まれた
アンドレア・マンテーニャ。

マンテーニャの故郷パドヴァは、
文化的なレベルが高い町でした。
13世紀創立の大学があるほか、
ジョットがフレスコ画を描いた
スクロヴェーニ礼拝堂もあります。

マンテーニャは、
アカデミックな雰囲気や
ジョットをはじめとする美術の影響の中で
画業を志したといわれています。

10代の終わりには、すでに画家として認められていました。
パドヴァのエレミターニ聖堂に
「聖ヤコブの生涯」「聖母被昇天」(いずれも戦火で焼失)
を描いています。

1460年には、
マントヴァのゴンザーガ家のお抱え画家となります。
「婚姻の間」や「カエサルの勝利」などの代表作は、
ゴンザーガ家の宮廷のために描かれたものです。

とくにゴンザーガ家一族を描いた肖像画では、
人物の個性を、突出した技能で再現しました。
また天に向かって開く天窓の俯瞰的な構図は、
パロックの先駆ともいわれています。

当時としては珍しく、
モノクロの色彩で構成された傑作、
「死せるキリスト」。
写実性だけではなく、
深い精神性を持つ名作
として、
ミラノにあるブレラ美術館の目玉にもなっています。

マンテーニャは優れた素描家としても有名。
義兄弟であったジョヴァンニ・ベリーニを通じて、
ヴェネツィアの画家たちにも影響を与えました。

古代彫刻のコレクターとしても有名だった
マンテーニャ。
ルネサンスのスピリットを持つ画家として
名を残しました。

ジョット「キリスト伝」1305年頃(パドヴァ・スクロヴェーニ礼拝堂)

初期ルネサンスとは、
14世紀から15世紀にかけて興った
美術の運動のひとつ。

平面的な中世の絵画から離れ、
奥行きとリアリティを感じる技術を駆使することで、
歴史に残る名作が生まれました。

ジョットに始まる初期ルネサンスの美術には、
人間の自然な表情や、背景、
視覚的効果のある構図など、
革新的な要素が含まれています。

古代美術の卓越性に理想を見た、
初期ルネサンスの画家たち。
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