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こんにちは、画家の佐藤功です。
油絵を始める際、
道具としてパレットは
絵の具や筆などに比べて
あまり目立たない存在ではないでしょうか。
しかし、自分の制作スタイルに合った
適切なパレットを選び、
持ち方や使い方を正しく理解すれば、
制作の快適さと、作品のクオリティに直結します。
パレットには、様々な種類があり、
材質や形状、折りたたみ可能なものまで
選択肢は豊富です。
この記事では、
まず、どの種類のパレットでも共通の
基本的な持ち方、使い方を解説します。
絵の具の出し方や、適切な量
などを解説します。
そして、様々な種類のパレットの
詳しい解説と選び方
おすすめのパレットを紹介します。
自分に合ったパレットを選び、
快適に絵を描くための
参考にしてください。
目次
<あわせて読みたい>
パレットの基本的な持ち方,使い方|快適な制作のために
まず、パレットの種類ですが
ざっくり言うと
材質は、
木製
紙
大理石
アルミ
などがあります。
形状は、
楕円型
長方形型
などがあります。
そして、手に持つための
指穴が開いている
指穴が開いていない
があります。
これら、どの種類のパレットでも
持ち方や、絵の具の扱いなど
基本的な使い方は同じです。
パレットの持ち方
持ち方ですが、
指穴が開いているパレットが
手に持つことができます。
右利きの場合(右手に筆を持つので)
左手にパレットを持ちます。
※左利き用のパレットもあるので、
左利きの人は、パレットを右手に持ちます。
パレットの指穴の下から
左手の親指を通します。
通したら、左手の親指と人差し指で
パレットをフックします。
そして、左の前腕に置くようにして
パレットを水平にして、安定させます。
絵の具を出したり、混色したりします。
ただ、手に持ったパレットは
どうしても安定しにくいです。
少量の絵の具を混ぜるくらいは
問題ありませんが、
多量の絵の具を、混色する場合は、
パレットを、台などに平置きして
ペインティングナイフで
混色するとよいです。
指穴が開いていないパレットは
手に持たず、台などに平置きして使います。
パレットの使い方
次に、絵の具の扱いなど、使い方です。
絵の具を出す位置は、パレット上部です。
絵の具を出す順番は自由です。
自分が使う頻度が高い色順に、
近くから、絵の具を並べるのでもよいでしょう。
あるいは、
同系色の順に並べると混色がしやすいです。
つまり、色相環の順に沿って
絵の具を出すということですね。
絵の具を出す量は、それぞれの色を
使うであろう量より、多めに出します。
溶き油を入れておく油壷は
クリップが付いているので、
パレットの端などに留めておいて
ここから、溶き油を使うこともできます。
パレット下部は
広く空けておいて
混色スペースとして使います。
混色するときも、多めに混色します。
これは、絵の具を塗るときに、
絵の具の残量を気にせず、
思いっきり塗れるからです。
絵の具の残量を気にして
控えめに塗ってしまうのは、
作品のクオリティには
マイナス効果となってしまいます。
絵の具は余るくらいが、ちょうど良いのです。
もったいないと思うかもしれませんが、
絵の具が塗り足りなくて、
後から、混色と塗りなおしをすると
かえって絵の具を消費して、時間も余計にかかります。
ここで、お知らせです。
油絵に興味を持ったあなたへ
私の画家としての経験から書いた、
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パレットの種類
次にパレットの種類を紹介します。
特徴やメリットなどを解説しますので、
自分に合ったものを選ぶ
参考にしてください。
まず、前述したとおり
パレットの材質は、
木製
紙
大理石
アルミ
などがあります。
この中で、特に利用者が多い木製と紙、
それと、私が利用している大理石
について解説します。
◆木製パレット
木製パレットは、
油絵パレットの定番ともいえる素材です。
硬くて木目が少ない
桜や桂が使われています。
パレット表面は硬いので、
弾力がある紙パレット(後述)と比較すると
混色がやりやすいです。
ただ、パレットの色が茶色なので、
混色時の色がわかりにくい
ということがあります。
※白く塗装された
木製パレットもあります。
また、木製パレットは、
指穴が開いているものだけです。
(私の知る限り、
指穴が開いていないものを
見たことがない)
あと、実用性とは違いますが、
木製は、温かみがあり、
使い込むほどに味わい増す点が魅力です。
長期間使用できるため、
愛着を持って使い続けることができます。
手入れ方法
木製パレットは、長く使うことを前提としており、
しっかりとした手入れが必要です。
使い終わったら、
1.ペインティングナイフなどで絵の具を掻き取る。
2.不要布やペーパータオルなどに
筆洗油、又は、揮発性油(テレピン、ぺトロール等)を
染み込ませて拭く。
3.表面がキレイになったら、
不要布やペーパータオルなどに
乾性油(リンシードオイル、ポピーオイル等)を
染み込ませて、パレット全体に薄く塗りこむ。
乾性油を塗りこむのは、
乾性油で表面がコーティングされて
次回、掃除がやりやすい、
パレットの木に絵の具が染み込むのを防ぎ、
寿命を延ばす
といった理由です。
形状
形状は、
楕円型
長方形型
などがあります。
楕円型は、持ち手からパレットの端まで
およそ一定距離なので、
パレットを手に持って使うのに安定する
といった利点があります。
楕円型
楕円型は、
さらに次の種類に分類されます。
<オーバル型>
油絵パレットで、一般的にイメージされる形状。
小~大サイズまであります。
<フランゼン型>
かなり大型で、扇形のパレット。
大作や広いアトリエでの制作に向いています。
手前左が凹んでいるのは、
持ち手の左腕の邪魔にならないため。
長方形型
長方形型は、
パレットを広く使える
収納しやすい
といった利点があります。
長方形型は、
さらに次の種類に分類されます。
<オブロング型>
小~大サイズまで、幅広くサイズがあります。
<オブロング型・二つ折り>
二つ折りで、コンパクトにできるので、
野外制作で画材を持ち出すときに向いています。
野外への持ち出しや、収納の目的がなければ
あえて選ばない方が良いです。
折り目や、金具に、
絵の具が溜まって使いにくく
手入れも大変です。
◆紙パレット
紙パレットは、私の体感ですが
油絵制作する人に
一番使われているように思います。
最大のメリットは、
使い終わったら、パレットの紙1枚を剥がして
捨てるだけなので、
後片付けが簡単なことです。
また、木製パレットの茶色とは違い
紙パレットは白なので、
混色時の色がわかりやすいです。
ただ、紙を重ね合わせているので、
パレットに弾力があり、
混色するときに、やや混ぜにくい
ということがあります。
あと、耐久性が弱いので、
混色時にペインティングナイフで裂いてしまう
油が染み込んで、
パレット全体が歪んでしまう
といったこともあります。
手入れ方法
手入れは必要なしです。
使い終わったら、パレットの紙1枚を剥がして
捨てるだけです。
形状
形状は、ほとんどが長方形型です。
ごく少ないですが、楕円型もあります。
長方形型は、
小~大サイズ、
縦横比が違うもの、
指穴が開いているもの、指穴が開いていないもの
など、幅広いラインナップがあります。
長方形型
<オブロング型 指穴無し>
パレットを台などに置いて使うなら、
指穴無しがよいでしょう。
<オブロング型 指穴有り>
パレットを手に持って使うなら、
指穴有りがよいでしょう。
<オブロング型 横長>
場所を取らないので、
ちょっとした混色や
通常サイズのパレットと
併用して使うこともできます。
◆大理石パレット
私は、大理石パレットを使用しているので
実際の使用感から解説します。
大理石パレットは、
プロの画家や本格的な制作を好む方に
使われていると思います。
大理石の冷たさは、
油絵の具の乾燥を遅らせる効果があり、
長時間での制作で、絵の具が扱いやすいです。
また、大理石は、硬く表面が滑らか
重量があるのでパレットの安定感が抜群です。
このため、絵の具がしっかりと滑らかに混ざり合い、
混色が非常にやりやすい、
というメリットがあります。
これが大理石パレットの
大きなメリットだと思います。
難点は、大理石パレットは非常に重いことです。
持ち運びには適していないため、
固定された作業場所での使用が前提となります。
大理石パレットを固定で置くスペースが確保できる、
これが使用するために必要な条件となります。
手入れ方法
手入れは、そんなに難しくないです。
掃除は、ペインティングナイフやスクレパーで
絵の具を掻き取って、
不要布や、ペーパータオルで拭くだけでOKです。
ただし、絵の具が固まったら剥がしにくいので、
筆洗油や揮発性油などを、垂らしたあとに
スクレパーで剥がしてください。
スクレパーで剥がすときに
刃を立てると、大理石表面に傷がつくので、
注意が必要です。
形状
長方形型
形状は、長方形です。
大理石パレットの代用品
大理石パレットは、
価格が高価なので、
そこも利用のハードルとなると思います。
でも、価格抑えめで、代用できるものがあります。
クラフト材、建材、パスタ打用板として、
大理石の板が販売されているので
これで代用できます。
わたしは、これらの中から、
できるだけ白っぽい大理石の板を選んで
大理石パレットとして使っています。
サイズや色、長方形、正方形、厚さが
様々なので、自分に合ったものを
探すとよいと思います。
パレットの選び方
パレットの選び方は、
制作スタイルや作品サイズ、
それらに合わせて、考えてみましょう。
ポイント1|後片付けが面倒?
後片付けが面倒で、手入れにも自信がない。
というなら、使い捨ての
紙パレットがよいでしょう。
後片付け、手入れもできる。
費用を抑えたい。
というなら、手入れ次第で
長年使用できる
木製パレットがよいでしょう。
ポイント2|手に持ちたい?置きたい?
「筆に絵の具を付ける」→「キャンバスに絵の具を塗る」
の作業を素早く効率的にやりたいなら、
手に持てる穴が開いたものにするとよいです。
特に、1メートル以上の大きい作品の場合、
立ったり、座ったりと移動して
絵の具を塗ることになるので
パレットを手に持って描いた方が効率的です。
パレットは、台に置いて
頻繁にペインティングナイフで混色をする
パレットの指穴が無い分の面積を広く使いたい
パレットを置くスペースが確保されている
というなら、
指穴が開いていないものにするとよいです。
ポイント3|適切なサイズは?
一般的なパレットのサイズは、
長辺が30cm台のものだと思います。
作品のサイズ、使う絵の具の量、
パレットを置くスペースなどを考慮して
パレットサイズを選びましょう。
ポイント4|形状は好みでOK?
パレットを手に持って描くなら、
安定する楕円型
パレットを台に置いて描くなら、
広く使える長方形型
が良いと思います。
でも、これらは、大きく変わる感じではないので、
形状は好みで選んでもよいと思います。
おすすめのパレットと使い方
私が個人的に良いと思っている
おすすめパレットと使い方を紹介します。
まず、おすすめパレットは、
紙パレット(指穴無し)の一択です。
これを、
中サイズ(長辺30cm台)
小サイズ(横長)
を併用します。
そして、使い方は、
台に平置きにして、
小サイズのパレットを上に置き、
使う絵の具を、チューブから出します。
中サイズのパレットを下に置き、
混色用として使用します。
こうすると、中サイズのパレットで
混色してスペースがなくなったら
1枚剥がして、次の混色に使います。
小サイズのパレットの絵の具は
保持したまま、次々に混色ができます。
パレットの複合的な使い方は、
他にもアレンジできるので、
いろいろと実験的にやってみてください。
参考になれば幸いです。
※私自身は、
大理石パレットと紙パレット(指穴無し)を
台に置いて併用していますが、
大理石パレットは、プロ以外の方が使うのは
現実的ではないので、選択肢から外しています。
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