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ラファエル前派とは何か
こんにちは、画家の佐藤功です。
美術に興味のある人は「ラファエル前派」という用語を、どこかしらで耳にしたことがあると思います。この「ラファエル前派」とは、19世紀イギリスで、ある意図をもって結成された画家集団のことです。
19世紀イギリスの画学生を中心に結成された集団
正確には、「ラファエル前派兄弟団」(Pre-Raphaelite Brotherhood)と言います。これは、1848年イギリスのロイヤル・アカデミー(王立美術学校)の画学生らの
ジョン・エヴァレット・ミレー
ウイリアム・ホフマン・ハント
ダンテ・ガブリエル・ロセッティ
を中心として結成された集団です。
どのような主張をもっている集団なのか
では、どのようなことをきっかけに、どのような主張をもって結成されたのでしょうか。
19世紀イギリスの美術業界は、ルネサンス期(15世紀頃~)からの大げさで理想化された表現が評価される風潮がありました。アカデミーでもそのような授業方針を慣習としていました。
このアカデミーの方針に反発した画学生らが、次のような主張をして「ラファエル前派兄弟団」結成したのです。
ルネサンス期の巨匠「ラファエロ」のように【大げさで理想化された型通りの表現】ではなく、【型にはまらず、率直で自然を観察することを規範として表現】するべき
詳しく説明します。
主張の中の”ルネサンス期からの大げさで理想化された表現”とは、特にルネサンス期の巨匠ラファエロが、その代表格として挙げられます。
具体的に、下図のラファエロの名作「キリストの変容」で見てみましょう。「キリストの変容」は、聖書に書かれている場面を描いていますが、画面上半分には、イエスが白く輝く神としての姿を3人の弟子達に見せる場面(両脇には預言者のモーセとエリヤ)。画面下半分には、悪魔に憑依された少年を治癒する場面が描かれています。
「ラファエル前派兄弟団」は、この作品の表現ついて、イエスの下に倒れ込んでいる3人の弟子たちのポーズが仰々しい、イエスを指差すの群衆のポーズが大げさ。そして、イエスの理想化されすぎた表現が精神性を欠如させている、というような批判をしています。簡単に言うと、やりすぎ感があるというか、妄想し過ぎと言いたいのでしょうかね、、、(笑)
このように、ラファエロみたく大げさに理想化された表現ではなく、ラファエロ以前の時代(初期ルネサンス、中世)に見られた率直で自然を観察することを規範とした表現に戻るべきだ、というのが「ラファエル前派兄弟団」結成の意図であり主張です。「ラファエル前派兄弟団」の名称も、ラファエロ以前の時代の表現に戻る、という意味で付けられました。
ちなみに「ラファエロ」(Raffaello)は、イタリア語表記(イタリア人画家なので)で、「ラファエル」(Raphael)は、イギリス(英語)表記です(イギリスで結成された画家集団なので)。
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ラファエロについて詳しくは、以下の記事を参照してください。
<あわせて読みたい>
ラファエロの代表作とは|ルネサンスを代表する画家|聖母子像、天使、アテナイの学堂
では次に、ラファエロ以前の時代(初期ルネサンス、中世)に見られた自然な表現とはどのようなものか?そして「ラファエル前派兄弟団」のメンバーは実際にどのような絵画を描いたのか?を見てみましょう。
ラファエロ以前の時代の表現とは
まず、ラファエロ以前の時代(初期ルネサンス、中世)に見られた自然な表現とは具体的にどのような表現でしょうか。中世後期(14世紀頃)のイタリアの画家ジョットの作品「東方三博士の礼拝」で見てみましょう。
下図は、ジョットの作品「東方三博士の礼拝」ですが、これも聖書の一場面です。イエスの誕生を、星の動きにより知った東方の3人の賢者が贈物を持って礼拝しに来ている場面です。
ラファエロの作品と比べると、大げさで理想化された表現は全くなく、むしろ質素な印象すら感じます(ただ、主要人物に後光はありますが)。「ラファエル前派兄弟団」は、この作品に見られるように率直で自然を観察することを規範とした表現に立ち返ろうとしたようです。わかりやすく言うと、誠実で自然な表現ということでしょうか。
ラファエル前派の絵画作品
では、ジョットの作品を見たうえで、「ラファエル前派兄弟団」のメンバーの作品を見ていきましょう。
まずは、ロセッティ
下図は、ロセッティの作品「聖母マリアの少女時代」ですが、これは、聖母マリアが母親アンナに白百合の刺繍を教わっているところ。さらに白百合には寄り添っている天使が描かれている場面です。ラファエロの絵のように、誇張したポーズも、大げさな理想化もされておらず、淡々と細部まで書き込んで写実的な表現に徹しています。モデルは、ロセッティの母と妹、2人とも信仰心が篤かったそうです。
次に、ミレー
下図は、ミレーの作品「オフィーリア」ですが、シェイクスピアの「ハムレット」のヒロイン オフィーリアが、恋人 ハムレットに過って父を殺害されて、精神を病み・・・そして小川に落ちて死にゆく・・・という場面です。
この作品もラファエロの絵のように、誇張したポーズも、大げさな理想化もされておらず、画面全体の植物(芥子、スミレ、パンジー、ひなぎく、わすれな草、ヒヤシンス、など)も品種がわかるまで書き込んで、写実的な表現に徹しています。ミレーの「オフィーリア」は、ラファエル前派の初期の傑作となります。
<あわせて読みたい>
ミレー「オフィーリア」シェイクスピア 「ハムレット」を絵画に
以上のようにラファエル前派は、19世紀のイギリス美術業界の変革に影響を与える運動となっていきます。
まとめ
結成当時のメンバーは、19歳~22歳と若かった「ラファエル前派兄弟団」。当初、同じ主張を元に一つにまとまっていったのですが、集団として明確な理念が確立・共有されていなかったこともあり、世間からはキリスト教のイエスの表現について、過度に質素だ、と批判されたりしました。次第に、それぞれのメンバーの表現の方向性が徐々に違ってきて、集団は分列していきます。
メンバーの国外移住、ミレーのロイヤルアカデミー会員への選出、ミレーとラスキン、ロセッティとハントの女性問題のもつれなど。表現の方向性だけではなく、活動場所や私情の問題など、様々な要因で「ラファエル前派兄弟団」は分裂していきます。
そして、1854年頃「ラファエル前派兄弟団」解体。活動期間は5~6年でしたが、ミレーの細密描写やロセッティの女性像は、後の写実主義や象徴主義に影響を与えました。
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