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象徴主義は、
19世紀後半に起こった美術運動です。
世紀末美術のひとつとされ、
幻想的な美しさで
人気があります。
目に見えないものを
象徴的に描いたことから
この名で呼ばれる象徴主義。
象徴主義の絵画の特徴は、
写実よりも、
心に浮かぶことや
頭をよぎる感情が、
重んじられる点です。
象徴主義の代表的な画家には、
ファムファタールのような
女性像で有名な
ギュスターヴ・モロー、
ゴージャスに装飾された
肖像画が人気の
グスタフ・クリムトなど。
後にドイツでさかんになる
表現主義に
大きな影響を
与えた象徴主義。
美術史の中で、
どのような意味を持っているのでしょうか。
表現主義との違いもふくめて、
象徴主義を
有名な作品とともに
詳しく解説します。
目次
象徴主義とは
美術史における
「象徴主義」とは
どのような特徴があるのでしょうか。
世紀末美術や表現主義と
比較しながら、
わかりやすく解説します。
象徴主義の定義
象徴主義は、
1880年代のフランスで生まれた
芸術の概念。
華やかさにむなしさを感じ、
あいまいなもの、不確実なものを
形にしようとする動向を
象徴主義と呼びます。
象徴主義の誕生の裏には、
18世紀半ばに興った
産業革命があります。
19世紀、
ヨーロッパは
大量生産の時代を迎えました。
技術革新によって、
建物はより高くなり、
乗り物はより早くなり、
人々は利便性と豊かさを
謳歌するようになったのです。
このような利益優先の
華やかで近代的な世界を
「一瞬の輝きに過ぎない」と
解釈する芸術家たちが
いました。
その結果、
「デカダンス」という
終末思想が
もてはやされるようになります。
「象徴主義」は、
こうした風潮の中で、
誕生しました。
魂の神秘や
死の不安、
願望や苦悩を
幻想的に描くのが
象徴主義の特徴。
フランスを中心に、
ヨーロッパ各地に
広がった象徴主義は、
さまざまな芸術運動の
源となりました。
象徴主義と世紀末美術
象徴主義は19世紀末の
美術の動向です。
同じ時代を表現する言葉に
「世紀末美術」があります。
世紀末美術は、
科学や技術の発展による
繁栄に
疑問をもつところから
生まれた運動。
パリの享楽的な
「ベル・エポック(良き時代)」とは
対照をなす
厭世的なテーマを軸としているのが、
世紀末美術です。
このコラムのテーマ
「象徴主義」は、
その世紀末美術のひとつ。
ミュシャで有名な
アール・ヌーヴォーも、
世紀末美術とされています。
「象徴主義」
「世紀末美術」
「アール・ヌーヴォー」は、
相互に影響を与えつつ、
さまざまな芸術運動へと
波及していきました。
絵における
色の役割が自由になった
フォーヴィスム、
現実とは全く違う世界を描いた
抽象主義は、
象徴主義を原点としています。
<あわせて読みたい>
象徴主義と表現主義の違いは?
美術史に登場する用語は
似通ったものも多数あります。
象徴主義と
よく似た意味を持っているイメージがある
「表現主義」。
象徴主義と
表現主義は、
どのような点が異なっているのでしょうか。
「表現主義」は、
ゴッホやゴーギャンのような
反自然主義的な手法全般を
指します。
とくに「象徴主義」と比較されるのが
20世紀初頭のドイツでさかんになった
「表現主義」です。
表現主義も
象徴主義と同様、
内面を表現することに
主眼を置く美術です。
異なるのは、
以下の点です。
象徴主義が、
繫栄する世俗世界への
不安から誕生したのに対し、
表現主義は、
モネを代表する印象主義や
写実に近い自然主義への反動から
生まれました。
また象徴主義が
幻想的な作風を
持っていたのに対し、
表現主義は
原始世界を思わせる
純朴さを
特徴として持つようになります。
表現主義はその後、
より単純化され、
抽象主義へと向かうことになります。
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ギュスターヴ・モロー(1741-1814年)
象徴主義の画家として
先駆けとなったのが、
フランスのギュスターヴ・モローです。
モローは、
初期印象派のマネと同世代。
しかし一世を風靡した
印象派とは一線を画し、
神話や聖書の世界を
幻想的に描きました。
「目に見えないもの、
ただ感じることができるものだけを
信じる」
と語ったモロー。
抽象的な観念や
聖書に登場する女性たちを
小悪魔的に描くのがモローの特徴です。
モローを語る上で
よく用いられるのが、
「耽美主義」という言葉。
耽美主義は、
善悪よりも
「美」こそ最優先されるべきという
思想でした。
モローは、
聖書も神話も、
独自の解釈で、
絢爛豪華な世界を演出。
善悪を超えた美を
描きました。
1864年に
官展(サロン)に出品した
「オイディプスとスフィンクス」では
すでにモロー独自の世界を展開。
鋭い色彩感覚、
豪華な装飾などを駆使し、
モロー独自の作風を確立しました。
大胆な構成や細部のち密さは、
ドラマチックでありながら静謐です。
1876年に
「サロメ」「出現」
「ヘラクレスとレルネのヒュドラ」
の代表作を発表。
とくに「サロメ」の連作は
文学者のオスカー・ワイルドや
画家オーブリー・ビアズリーらに
激賞されます。
モローの作品は、
世紀末美術や思想に
大きな影響を与えました。
モローはまた、
若手の育成にも熱心でした。
20世紀に活躍した画家
アンリ・マティスや
ジョルジョ・ルオーは、
モローに学び
大家となった画家たちです。
オディロン・ルドン(1840-1916年)
オディロン・ルドンは、
ギュスターヴ・モローと並んで
象徴主義を代表する画家です。
「目に見える現実」よりも
「感じ取ることができる現実」を重視し、
神秘的な花や
摩訶不思議な生物を
描きました。
植物学者らと
交流もあったルドン。
夢想的な花や生物は、
顕微鏡を見た経験がもとになっていると
伝えられています。
無名の時代が長かったルドンですが、
1879年に
リトグラフ集「夢の中で」を発表。
1881年に個展を開催し、
象徴主義の画家の
仲間入りをしました。
世紀末美術のひとつ、
背徳的な思想を好んだ
デカダン派も、
ルドンを支持。
勢いを得たルドンは、
「起源」「夜」
「聖アントワーヌの誘惑」などの
傑作を発表しました。
キャリア初期は
白と黒だけの
表現が特徴だったルドン。
1890年ごろから、
モノクロの世界から脱出し、
色鮮やかな絵画を
描いています。
他の表現主義の画家たちと違い、
抽象的な作風を重んじた点も
ルドンの特徴。
晩年まで孤高を保ち、
夢の世界を描きました。
ルドンの作風は、
後にダリなどを生む
シュルレアリスムの
先駆けとなりました。
グスタフ・クリムト
世紀末ウィーンの
退廃的な空気を伝える
グスタフ・クリムトの作品。
金色をふんだんに使った
典雅な作風は、
日本でも人気を誇ります。
ポスターや文具など、
クリムトの作品がデザインされた
商品もよく見かけます。
フランスで開花した
象徴主義は、
ヨーロッパ各国に伝播。
オーストリアでは
クリムトが
象徴派の代表格となります。
金工細工師の息子として生まれた
クリムトは、
彫刻家のロダンや、
画家のゴッホの影響を受けたと
伝えられています。
1880年代は、
弟とともに、
歴史的な大作を
制作していたクリムト。
1898年ごろから
新しい様式美を確立。
金箔や文様を使い、
奥行きのない画面に
写実的な人物を描いて
人気を博しました。
「接吻」や「ダナエ」に
見られる独特の官能性は、
今も色あせていません。
1900年から取り組んだ
ウィーン大学の寓意画は、
大胆な構図と作風で、
賛否両論を巻き起こしました。
クリムトが確立した
装飾性と平面性は、
ミュシャを代表する
アール・ヌーヴォーに
影響を与えることになります。
アルノルト・ベックリン
ドイツで活躍した
象徴主義の画家
アルノルト・ベックリン。
スイスのバーゼルに生まれ、
イタリアやフランス、ベルギーなど
ヨーロッパ各国を巡り、
独自の象徴主義を
打ち立てた画家です。
1858年に、
ミュンヘンで発表した
「葦のなかのパン」が話題になり、
ベックリンの名前が
知られるようになりました。
ギリシア神話を題材にした
「葦のなかのパン」ではすでに、
ベックリン特有の
孤高の精神を見ることができます。
ベックリンの特徴は、
超自然的な世界を、
写実と幻想で表現した点です。
崇高で理想化された世界に、
象徴的な人物が
描かれることも多く、
詩的な情緒が漂います。
古代的、神話的をテーマにした作品のほか、
自画像も数多く残しました。
ベックリンの幻想性は、
シュルレアリスムを代表する画家
ダリに
影響を与えたといわれています。
また代表作「死の島」は、
詩人のリルケや
音楽家のラフマニノフにも
インスピレーションを
与えました。
日本の作家
小池真理子氏も
同名の小説を書き
ベックリンの精神世界を
耽美的な作品で表現しました。
優雅と退廃が共存する世紀末的な象徴主義
象徴主義は、
19世紀の終わりから
20世紀の初めにかけて
フランスを中心に盛んになった
芸術の動向です。
目の前にあるものを
写実的に描くのではなく、
目に見えない内面を
象徴として描いたことが
象徴主義の特徴。
幻想的な美しさが際立つ
ギュスターヴ・モロー、
豪華な金箔や
装飾が美しい
クリムトなどが
象徴主義を代表する画家です。
この後に登場する
表現主義や
抽象主義にも影響を与えた
象徴主義。
摩訶不思議な
象徴主義の作品に、
世紀末的な美を
感じてみてください。
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