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油絵具 白の種類。たくさんあるけど違いと使い方は?|パーマネントホワイトが使いやすい

こんにちは、画家の佐藤功です。記事がためになった、面白かったなら、ぜひSNS(Twitter、Instagram、Facebook)のフォローもお願いします。

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油絵具 白の種類

油絵具には、白の種類がたくさんありますが、どれを使えばよいか迷ったことはないでしょうか?

白なら、どれも似たように見えますが、明確に違いがあります。違いを分かったうえで使い分けると、より油絵の制作に生かすことができます。この記事では、私がそれぞれの白で、実際に描いた絵を参考にしながら説明していきます。

<目次>

1.5種類の白でリンゴを描いて、簡単に比較

2.画家視点で、お勧めの白

3.5種類の白の詳細な説明(画家視点で、独断的な感想含む)


 パーマネントホワイト
 チタニウムホワイト
 シルバーホワイト
 ジンクホワイト
 セラミックホワイト


4.画家視点で、まとめと考察

1.5種類の白でリンゴを描いて、簡単に比較

まず、代表的な白には、次の5種類があります。

パーマネントホワイト
チタニウムホワイト
シルバーホワイト
ジンクホワイト
セラミックホワイト

5種類の白について、いきなり、文章で長文の説明を書いても、わかりにくいと思います。ですので、実際に私が、5種類の白とアイボリーブラックで、リンゴと水晶を即興描き(プリマ描き)で描いてみました。それぞれの白の特徴をやや誇張するように描いて、ごく簡単な説明を書きました。以下の画像で、ざっと比較してみてください。画像をクリックして拡大すれば、筆致が見えます。その後に、私がお勧めする白と、5種類の白の詳しい説明を書いています。

※使用した絵の具は、すべてホルベイン社製の白とアイボリーブラック
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2.画家視点でお勧めの白

次に、私が画家視点で、お勧めする白を説明します。早速、結論としては、「パーマネントホワイト」がお勧めです。これ1種類あれば、大丈夫です。初心者や、使い分けが難しいな、という人は、「パーマネントホワイト」を使ってください。

「パーマネントホワイト」をお勧めする理由は、使いやすい。ということ。具体的には、混色しやすいです。「チタニウムホワイト」のように白さが強すぎて、どの色を混ぜても白っぽくなることがない。また、「ジンクホワイト」のように最上層にしか塗れない、といった使用上の注意点がない。下層から上層まで、どの層にも塗れる、からです(※「チタニウムホワイト」や「ジンクホワイト」の詳細は後述)。

「パーマネントホワイト」だけでも大丈夫ですが、慣れてきたら「チタニウムホワイト」も併用するとよいです。理由は、「チタニウムホワイト」の白さは、とても強いので、絵の中で、金属やグラスの光っている箇所のハイライトに使用すると効果的です。また、明るさを強く表現したい部分、人物画ならば、光が当たっている面、風景ならば日光が当たっている場所などに使用するのもよいです。

参考に、下図は私が描いた人物画の頭部ですが、光が当たっている部分は、チタニウムホワイトを混色しています。逆光の光の強さを表現するのに効果的でした。

ちなみに、私は、今まで様々な白を使用しましたが、現在は「チタニウムホワイト」だけで描いています。たまに「パーマネントホワイト」を併用するくらいです。「チタニウムホワイト」は使いこなすのが少し難しいですが、慣れるとモチーフの存在感を強める表現ができるので気に入っています。

あと、私は、専門学校で油絵講師をしていますが、生徒の皆さんに教えるときに、白は、どれを使用すればよいか迷ったら「パーマネントホワイト」をお勧めしています。また、ハイライト用に「チタニウムホワイト」も用意すると便利だよ、とも教えています。

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3.5種類の白の詳細な説明(画家視点で、独断的な感想含む)

ここまで、5種類の白で描いた絵と簡単な説明、お勧めの白を書きましたが、次は、5種類の白の詳細な説明をします。私は、5種類全部の白を使用して絵画制作した経験から、個人的な独断的感想を入り混ぜて説明します(^^)白を選ぶ参考にしてみてください。

パーマネントホワイト

使いやすい標準的な白です。初心者は、まず「パーマネントホワイト」を使ってみると良いでしょう。

適度な白色度、着色力、隠ぺい力(※)で、どの色と混ぜても、ちょうどよい白さになります。また、混色制限がなく、どの色と混ぜても問題ありません。目立った特徴はないのですが、それが使いやすさとなっています。

(※)
「白色度」・・・白さを表す指標
「着色力」・・・色の効き具合。2つ以上の色を混ぜて、ある色が、どのくらい濃くなるかの能力。例えば、チタニウムホワイトとコバルトブルーを1:1で混色すると、白っぽい水色になるが、これは、チタニウムホワイトの着色力がコバルトブルーより強いと言える。
「隠ぺい力」・・・下の色を覆い隠す度合い

絵の具メーカーの油絵セットの白は、だいたいパーマネントホワイトが入っているようです。パーマネントホワイトを使用してみて、徐々に他の白もチャレンジしてみると良いと思います。

チタニウムホワイト

白色度、着色力、隠ぺい力が、白の中で最大です。強い白なので、混色時に量を気を付けないと、どの色を混ぜても白っぽくなってしまいます「チタニウムホワイト」の一番の長所は、ハイライト表現に適していることです。ガラスや金属の光っている箇所などに使用すると、ピカッと光ります。人物や風景でも、光が当たっている箇所の表現全般に有効です。

前述した通り、私自身、白は「チタニウムホワイト」をメインに使用しています。下図は、私が描いた静物画の一部ですが、グラスのハイライトにチタニウムホワイトを使用して、鋭く光る効果を狙っています。

チタニウムホワイトの短所は、乾燥が遅いことです。チューブから出したままを使用すると指触乾燥(表面の乾燥)するのに4~5日はかかります。冬場や寒い日などは、さらに日にちがかかります。でも、乾燥剤を用いれば乾燥を早めることができます。乾燥剤は、液状のシッカチーフをお勧めします。ゲル状の乾燥剤は絵の具が薄くなる(やや隠ぺい力が落ちる)ので注意が必要です。白を効かせたい場合は、ゲル状の乾燥剤は避けた方がよいでしょう。

チタニウムホワイトは、使い勝手がやや難しい白ですが、慣れてくると、とても使える白です。

シルバーホワイト

「シルバーホワイト」は、古い時代から(中世~)使われている白です。色合いは黄色味がかって、暖かみのある白です。適度な白色度、穏やかめの着色力、適度な隠ぺい力、です。厚塗りに適していて、乾燥が早い。これは、顔料に使用している鉛白が乾性油の乾燥を促進するためです。

ただ、混色制限や変色があるので注意が必要です。鉛系絵具のシルバーホワイトは硫黄系絵具を混ぜると、時間を経てから色が暗くなることがあります。

各絵の具メーカー(ホルベイン、マツダ、クサカベ)の絵の具には、混色制限記号で、混色しない方がよい色がわかるようになっています。例えば、ホルベインの場合、鉛系絵具のシルバーホワイトの混色制限記号「S」は、硫黄系絵具の混色制限記号「N」とは混色しない方がよいです。混色制限記号「N」はウルトラマリンディープ(とライト)、ミスティ ブルーなど。

また、毒性がありますので、口にしないようにしてください。手に傷がある場合も注意が必要です。

私の個人的な感想としては、シルバーホワイトは物質感が強いので、絵の具を混ぜ合わせるときに、練りにくいように感じます。絵の具の混ぜ合わせは、絵画制作時に作業頻度が多いので、その分、手間がかかるということです。一方、その物質感を生かした厚塗りの表現には向いていると思われます。また、白の着色力が穏やかなので、混色で白が弱いと感じますが、繊細な色彩表現に向いているとも言えます。


ジンクホワイト

白の中で、白色度は一番小さいです。やや青みがかって透明感のある白なので、穏やかな表現に向いています混色しても白さを主張せず他の色を生かした美しい中間色ができます。ただ、ジンクホワイトは、顔料の酸化亜鉛の影響で、上に塗った絵の具に亀裂や剥離を起こす危険があるため、最上層のみに使用した方がよいです(下層、中層に使用してはいけない)。

私は、個人的にジンクホワイトは、使用するメリットより、デメリットが大きいので、選択肢から外してよいと考えています。淡い白の表現は、美しいですけどね、、、

セラミックホワイト

ホルベイン社が独自に開発した白です。青みがかった白で、使いやすいです。ホルベイン社の説明によると、セラミックホワイトは青みがかった白で、目で見た時に一番白く感じるそうです。ただ、私の使用感ではチタニウムホワイトの次くらいの白さだという印象です。また、青みがかってはいますが、チタニウムホワイトやパーマネントホワイトの青みと大差ない印象です。

他には、混色時の色みの美しさ、黄ばみの少なさなど、メリットは大きいです。ただ、他の白に比べて価格がやや高めです。そこが気にならなければ選択肢として十分ありだと思います。

私の個人的な感想として、最大のメリットは、絵の具を混ぜ合わせるときに混ざりやすいこと。絵の具同士を軽く練れば、滑らかに混ざって混色が美しい、です。絵の具の混ぜ合わせは、絵画制作時に作業頻度が多いので、このメリットは地味ですが、大きいと思っています(と言いながら、私はセラミックホワイトは普段使いしていない 笑)。

セラミックホワイトは、ホルベイン社の独自開発・販売の白なので、代表的な白に含めるのは、少し違うかもしれませんが、選択肢として十分ありうるので含めました。

4.画家視点で、まとめと考察

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まとめると、初心者や、使いわけるのが難しいという人は、パーマネントホワイト一択で良いと思います。

中級者以上は、パーマネントホワイトに加えて、チタニウムホワイトを使いこなせるようになることをお勧めします。これは表現の幅が広がって、上達に繋がるからです。

シルバ―ホワイトは中世~、ジンクホワイトは18世紀後半~、と古くから使われていますが、これらの白は前述の通り、大きなデメリット(混色制限、毒性、亀裂や剥離など)があります。

これらのデメリットを改善すべく近代になって「チタニウムホワイト」「パーマネントホワイト」が開発されました。顔料は、いずれも同じチタン白を使用していますが、「パーマネントホワイト」は白さを抑えて、より使いやすいように作られています。よって、パーマネントホワイトを使用すれば、シルバ―ホワイト、ジンクホワイトは現代では不要ではないか、とも言えます。

ではなぜ、絵の具メーカーは、大きなデメリットがあるシルバ―ホワイト、ジンクホワイトの製造を続けているのか?

それは、シルバ―ホワイト、ジンクホワイトを好んで使い続けている人がいるからでしょう。合理的に考えれば、パーマネントホワイトやチタニウムホワイトを使えばよいと思います。しかし、実際使ってみて、シルバ―ホワイト、ジンクホワイトが感性に合う、心地よい、デメリットがあっても使いたいという人は必ずいます。わたしの周りにも、昔からシルバーホワイトを使い続けている画家さんがいます。

何が言いたいかというと、この記事で、それぞれの白の特徴と、私の意見は書きましたが、それを参考にした上で、実際にあなた自身がそれぞれの白を使って、あなたの感性で選んでください、ということです。

最初はパーマネントホワイトでよいと思いますが、慣れたら、できれば全ての白を使用してみてほしいのです。それぞれの白の良いところ、良くないところなど、私が気づかない、あなた独自の発見があるかもしれません。そこから、本当に使いたい白を選べると思います。

白の選び方に限らず、道具や技法など、実際に実践してみて、そこから自分自身で選択していくことが重要だと考えています。これは、今まで私が画家として、そのように実践して、結果を得てきたので自信を持って言えます。

書籍での知識や人の意見を聞くことは大事ですが、それだけで満足せずに、実際あなた自身が実践することによって、あなたにとって本当に必要なことを選択でき、修得できると思っています。

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