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こんにちは、画家の佐藤功です。
絵を描くとき、絵の隅々までモチーフで埋め尽くさなければならない、
と思ったことはありませんか?
もちろん、そんなことはありません。
絵画には、画面の隅々までしっかり描き込む作品もあれば、
あえて「余白」を活かして描かれる作品もあります。
この記事では、
余白を生かした作品について解説していきます。
あなたは、
余白を生かした作品を描こうとして、
次のようなことに悩んだことはありませんか?
・主役と余白のバランスがイマイチ良くない
・余白が「塗り残し」みたいになってしまう
・完成しても、モノ足りなさを感じてしまう
この記事を読むと
余白には、どのような効果があるのか
余白は、どのように扱えば「塗り残し」ではなく「絵の一部」として表現できるか
がわかります。
余白の扱いに悩んでいる方は、ぜひ読んでみてください。
絵画における「余白」は「何もない空間」ではない
優れた絵画の多くは、必ずと言って良いほど意図的に空けられた「余白」が存在します。
余白とは、単なる「主役以外の場所」や「何もない空間」ではありません。
それは、主役を引き立たせるために、画家が計算して配置した、重要な表現の一部なのです。
描かずに主題を魅せる【機能的な余白】【精神的な余白】
画面に要素を詰め込みすぎると、
観る人の視線が分散し、何を伝えたい絵なのかが曖昧になってしまいます。
あえて「描かない」という選択をすることで、本当に見せたい主題の存在感が際立ちます。
私の画家としての視点で考えると、余白には、大きく分類して、
【機能的な余白】
【精神的な余白】
があると考えます。
この分類で見ていくと、描くとき、鑑賞するときに画面構成をより深く観ることができます。
【機能的な余白】は、
主役を視覚的に際立たせたり、絵画のストーリー性を演出したりするためのものです。
これらの余白の使い方は、特に西洋絵画で見られる傾向があります。
【精神的な余白】は、
何も描かれていないことによって、空気感や空間の広がり、情緒や精神性などを鑑賞者に想像させる働きを持つ余白です。つまり、鑑賞者の感性に委ねることで、余白に内包された美しさを感じ取ってもらうという考え方です。
これらの余白の使い方は、特に日本画等の東洋絵画で見られる傾向があります。

余白が作品にもたらす4つの劇的な効果
余白を適切に扱うことで、絵画には驚くべき効果が生まれます。
ここからは、先ほど解説した「機能的な役割」と「精神的な役割」の2つの視点から、
具体的にどのような効果があるのかを4つに分けて見ていきましょう。
①【機能的な余白】主役をシンプルに際立たせる
周囲に何もない空間があることで、描かれた主題に強く視線が集まります。
例えば、主役の周囲に複雑なモチーフを描かず、スッキリとした空間(余白)を設けることで、視覚的に主役を際立たせることができます。
また、色彩でも、主役に対して、余白に補色関係の色を置くことで、最も見せたい部分へと視線を誘導することができます。


※ゴッホ「アイリスのある花瓶」は、厳密には背景が黄色く塗られていますが、複雑な背景を描かずに空間をシンプルに処理することで、実質的な「余白」として機能させ、主役のアイリスを強烈に引き立てています。
②【機能的な余白】ストーリーや場面を演出する
絵画のストーリー性を演出するために、余白を活用することができます。
ドガの「エトワール」では、踊り子(花形スター)の周囲に広がる大きな余白が、スポットライトを浴びる舞台であると同時に、踊り子の孤独感や、背後の暗い現実(パトロン[愛人]の存在)を演出しています。

③【精神的な余白】画面に「奥行き」「空気感」を生む
適切な余白は、画面の中に「抜け感」を作り出します。
主役と余白の関係性やバランスにより、空間の「奥行き・広がり」や「空気感」を感じさせることができます。


④【精神的な余白】鑑賞者の想像力を刺激し、情緒を深める
すべてを描ききらずに余白を残すことで、鑑賞者はそこに「描かれていない物語」や「感情」を想像します。
余韻や静寂、孤独感など、見る人の感情を揺さぶる深い情緒を生み出す効果があります。

補足:「西洋絵画=機能的余白」「東洋絵画=精神的余白」という傾向について解説しましたが、これはあくまでも全体的な特徴です。
当然、西洋絵画の中にも精神的な余白を持った作品は存在しますし、東洋絵画の中にも機能的な余白は存在します。絵画の数だけ、余白の表現も多様であることをぜひ心に留めておいてください。
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【実践】魅力的な余白の作り方!
「じゃあ、ただ空間を空ければいいの?」と思うかもしれませんが、
無計画な余白は、未完成な印象を与えてしまいます。
ここからは、「魅力的な余白を作るための具体的なノウハウ」を解説します。
主役の周辺を広く空ける
一番シンプルな方法です。目立たせたい場所の周辺を余白にするとよいです。
余白の空け方は、人物であれば基本的には、顔または体の向き、進行方向、視線の先などを広めに空けると上手く収まります。
ただし、空け方はこれに限らず、描きたい絵によって様々です。目的によって、どのように空けるかを考えるとよいでしょう。

上の絵画は、顔と体の向きを、やや広めに空けています。
さらに空け方は、顔と衣装の「明るさ」と、余白の「暗さ」との面積バランス、
視線の先の「間」も考慮して決めていると思います。
画面の四隅・四辺のいくつかを空ける
特に風景画で活用できますが、画面に広がりを感じさせたい場合は、四隅・四辺のいくつかを空けるとよいです。

上の絵画は、紅葉と緑の枝が伸びている方向の「左上の隅」「上辺」が大きく空いています。
これにより、画面の外への広がりを感じさせます。
また、樹々を余白に溶け込ませることで、白雲や場の空気感を感じさせます。

上の絵画は、(空を余白と捉えて)女性の顔と体の向き、視線の先を、大きく空けています。
同時に、体の向きに合わせて、画面の「上辺」と「右上の隅」を大きく空けています。画面には夏空の広がりを感じさせます。
密集と余白(粗密)を対比させる
画面全体で要素を密集させる部分と、大きく空ける部分の対比を意識します。
同時に明暗や色彩も対比させると、より効果的です。

上の絵画は、(壁を余白と捉えて)主題である人物・パン・陶器などの密度を、右上の余白が最大限に引き立てています。
構図パターン(日の丸,三角,三分割)を活用した余白

余白のバランスに迷ったら、構図パターンを活用するのがおすすめです。
「構図パターン」とは、構図の組み立てを簡単にする型(テンプレート)のようなものです。
日の丸、三角、三分割などがありますが、構図パターンの線や面、交点に主題や余白を配置すると、自然と心地よい余白のバランスが生まれます。

上の絵画は、三角の構図パターンを活用しています。
画面中心の三角形の中に要素を配置して、それ以外を余白とします。このように、バランスの取れた余白が作りやすくなります。
※構図パターンは、これ以外にも沢山あります。詳細は以下の記事をご覧ください。
全体を「白,グレー,黒」の3段階トーンの面積比で捉える
余白を考える際、個々のモチーフ単位ではなく、画面全体を明暗のトーン「白,グレー,黒」の面積比として捉えてバランスを取ってみましょう。
例えば、画面の大部分を暗いトーン(黒・グレー)で落ち着かせ、見せたい主題の周りに明るいトーン(白の余白)を配置することで、劇的な効果が生まれます。
この3段階の面積比を意識するだけで、「計算された美しい空間」へと生まれ変わります。


上の絵画は、(壁を余白と捉えて)中心の少女と、少女を下から「U字型」で囲うように、画面の左・下・右が暗めのトーン(ダークグレー・グレー)になっています。
そして、少女の頭部周辺を白く明るい余白として際立たせています。
一番暗いトーン(ダークグレー)が少女を中心にして、画面全体にちょこちょこ散らしてバランスさせています。
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あえて「見切る」ことで生まれる空間の緊張感
モチーフを画面の中央にすっぽり収めるのではなく、あえて画面の端でスパッと切り取る(見切れる)構図も効果的です。
片側に大きな余白が生まれることで、画面にダイナミックな動きと心地よい緊張感が生まれます。
前半で紹介したドガの「エトワール」も、まさにこの手法を取り入れています。
主役を右端に配置し、左側に大きな余白を作ることで、舞台の上の緊張感を生み出しています。

マチエール(質感)や淡い描写で余白に「深み」を出す
日本画の殆どの場合、塗り残しや、淡く着色して余白としますが、
西洋画の殆どの場合、塗り残すことはなく、絵の具を塗って余白とします。
しかし、特に西洋画は、絵の具を単に平坦に塗ると、そこだけモノ足りないように見えてしまうことがあります。
美しい余白を作るには、筆跡を残したり、絵の具の厚み(マチエール)を作ったりすることも手法の一つとして覚えておくとよいでしょう。
また、余白の中に要素をごく淡く、ぼんやりと描き込むことで、何もないように見えて実は豊かな情報を持つ「深みのある余白」が完成します。


上の絵画は、モランディの作品ですが、個々のモチーフを落ち着いた色彩・シンプルな描写で描いています。
一見、モノ足りなさを感じてしまいそうですが、余白も含めて画面全体には、絵の具を盛り上げて均質なマチエールを施しています。これにより、シンプルでありながら、静謐な深みを感じさせています。

上の絵画の、唐獅子周辺の余白は、金箔を施しており、力強く煌びやか、威圧的な画面です。
城の障壁に描かれて、時の天下人(信長、秀吉)の権威を誇示したとされています。

上の絵画は、私の作品ですが、前面の「ダリア」と奥の「桜」、その左右に余白です。
桜の色彩をグラデーションで余白に溶け込ませています。また、余白の一部には、かすかに桜を描写しています。
これにより、単に平坦ではない無限に広がる奥行き感、深みや空気感を出しています。
以上、まずは、これらの余白の作り方に留意して余白を作ってみてください。
もう手抜きには見えないはずです。
「手抜きに見える余白」の回避方法
前述の「魅力的な余白の作り方!」をやってみたが
「どうしても描きかけに見えてしまう…よく考えて余白を作ったのだけど…」
と悩んでしまう方へ…
自分自身で「この余白は描きかけではない!」と言い切れますか?
もし、言い切れるなら、熟考して作った余白でしょうし、鑑賞者の審美眼に十分応えられるはずです。
では、これを回避するコツですが
「余白以外の完成度を徹底的に上げること」
です。
余白が生きるためには、それと対比される余白以外の箇所(主役・脇役等)に「圧倒的な完成度」を持たせる必要があります。
余白以外の描き込みが甘いと、それに引っ張られて余白も、
単に「余白以外と同レベルの描きかけの空間」に見えてしまいます。
まとめ:余白の活用で作品の格を上げよう
今回は、絵画における「余白」がもたらす効果と、その具体的な作り方について解説しました。
・余白には「機能的(視線誘導・演出)」と「精神的(広がりや奥行き・情緒)」の2つの役割がある
・魅力的な余白を作るには、構図パターンの活用や面積比のコントロールが有効
・「手抜き」に見せないためには、余白以外の部分の完成度を圧倒的に高めること
何もない空間(余白)を演出することは、モチーフを描き込むことと同じくらい、労力と計算を必要とする技術です。
「こんな絵にしたいから、主役・脇役をこう配置しよう。ではその時、余白はどう空けるべきか?」
制作の際に、この視点を一つ持つだけで十分です。
最後にお知らせです。
これから油絵を学びたい方や、さらに上達したい方へ。
基本的な手順とコツがわかる
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しかし、最初は、余白により主役は強くなるけど、どこかモノ足りない画面になっていました。
それまでは「主役」に対して「余白」を格下の要素として考えていたのですが、「主役」と「余白」を対等な要素として考えるようになったら、モノ足りなさは改善していきました。このことは、後のセクションで詳しく解説します。