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マニエリスム絵画とは?特徴は引き伸ばされた人体|代表的な絵画と画家|エル・グレコ,パルミジャニーノなど

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こんにちは、画家の佐藤功です。この記事ではマニエリスムについて書きます。記事がためになった、面白かったなら、ぜひSNS(Twitter、Instagram、Facebook)のフォローもお願いします。

マニエリスムとは?特徴は?

美術用語として、聞くことがある「マニエリスム」。これは何のことでしょうか?

マニエリスムとは、盛期ルネサンス期からバロック期に移行する1520年代~1600年頃に、イタリアで発祥した芸術様式のことです。

マニエリスム絵画の特徴としては、

・非現実的な色彩、明暗
・歪んで、引き伸ばされた人体
・ねじれたポーズ
複雑な構図

があげられます。

盛期ルネサンスでは、レオナルド・ダ・ヴィンチ、ミケランジェロ、ラファエロに代表する芸術家たちが圧倒的な業績を残しました。自然の調和を規範としながら壮麗な表現を極めたのです。

この盛期ルネサンスの芸術家たちの手法(マニエラ)を、その後の芸術家たちが意図的に真似しながら、さらに強調して独自性を出していきました。そのような表現のことをマニエリスムと呼びます。

マニエリスムは、当時は先人の手法を真似しただけ、という批判的な意味がありました。しかし、現代では、手法の真似だけでなく、表現をさらに洗練して追求していったものとして評価されています。

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マニエリスムの代表的な絵画と画家

下図は、ヤコポ・ダ・ポントルモの「十字架降下」です。イエスが処刑後に十字架から降ろされて、聖母マリアが嘆く場面ですが、西洋画ではよく描かれる主題です。

ヤコポ・ダ・ポントルモ 「十字架降下」

ヤコポ・ダ・ポントルモ 「十字架降下」 1528年頃

作品を見てみると、ルネサンス期の調和のとれた自然な表現とは違って、色彩はピンクやライトブルーなどパステルカラー風。人物の配置やポーズも入り組んでいて複雑です。現実感がない印象ですね。

また、遠近法(透視図法)を無視したように、地面と登場人物の立ち位置の関係が不明瞭で、みんな宙に浮かんで見えます。表情も生気が無く、全体的な不穏な雰囲気、非現実感と不安さが強調されているようです。

次に下図は、マニエリスム絵画では有名なパルミジャニーノの「長い首の聖母」です。タイトルの通り、聖母マリアの首が長くなっています。それだけではなく、指も長い、頭部が小さいわりに胴体から脚までも長いです。立てば、12頭身くらいはあるでしょうか。また、赤子イエスも身体が大きく、胴体がとても長くて、赤子ではないみたいです。。

パルミジャニーノ 「長い首の聖母」

パルミジャニーノ 「長い首の聖母」 1535-1540年

この作品は、美しいとも、不自然で奇妙だとも受け取れそうです。どう見るかは、人によって分れるところですが、、、パルミジャニーノは、優美で優雅に見せるために、自然な人体や空間を意図的に歪めて描いたようです。

画家の私としては、こういう意図は好きですね(この作品の好みは置いておいて)。私自身、人物画を描く時に、人体を良く見せるように若干創作して描くことはあるので(^^;

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そして、下図は、エル・グレコの「聖衣剥奪」です。エル・グレコは、マニエリスム後期の画家ですが、マニエリスムの画家としては一番有名だと思います。作品は、イエスが十字架に架けられる前に、兵士たちに衣服を剥ぎ取られる場面です。

エル・グレコ 「聖衣剥奪

エル・グレコ 「聖衣剥奪」 1577-1579年

作品全体を見ると、人物が複雑に密集している構図や非現実的な色彩など、マニエリスムの特徴が出ています。さらにグレコの場合、激しく強烈な色彩に、特異な人体造形、荒々しい筆致が見られます。これらが相まってグレコ独特の情熱的な画面となっています。他のマニエリスムの画家と、一線を画しているようですね。

マニエリスム発祥の社会背景

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マニエリスム発祥の背景は、盛期ルネサンスの手法の影響だけでなく、16世紀イタリアの社会的不安定さも要因のひとつと考えられています。

マニエリスム絵画には、独特の不安さ不穏さを感じる作品が少なくありません。前述のヤコポ・ダ・ポントルモ「十字架降下」、パルミジャニーノ「長い首の聖母」もそうですが。

16世紀のイタリアでは、戦争や宗教改革などがあり、社会的な不安定さと不安感が蔓延していました。その不安定さと不安感が、マニエリスムの絵画表現に反映されているともいえます。盛期ルネサンスの調和した芸術を踏襲しつつ、歪曲して強調された表現には、当時の社会的な不安感が織り込まれたのでしょうね。

マニエリスムの様式は、次の時代(16世紀末頃~)のバロック様式に引き継がれていきます。バロック

美術の特徴は、ダイナミックで劇的な表現が見られ、18世紀まで続きます。

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